※当店は閉店しています。2024/1/31更新

雨水ブログ「はじめました」

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いつもご愛顧まことにありがとうございます。雨水です。うすいです。

突然ですがブログを書くことにしようと思い至り、ツイッターじゃ文字数が足りないし、珈琲屋なんだから少しは珈琲の話をしろよ、ってことで、何となく珈琲にまつわることでも書いていこうと言う次第であります。先日、恵比寿の珈琲トラムさんで古本イベントがありましたね。あれに触発されたってわけでもないですけど、触発されなかったってわけでもないですね。

まあ珈琲の歴史的、科学的な話は多くの先人の方々が仰ってますし、生産国や農園の事情とかいわゆるスペシャリティコーヒーのお話もいくらでも調べることができますので、そう言った一般的なことではなしにして、あくまで雨水個人が体験してきた「おいしい珈琲とはなんぞや?」と言うことをお伝えできたらなあ、と考えております。なので独断と偏見でしかモノ言えませんがご容赦下さい。

暇つぶし程度にお目を通していただければと思います。

では第一回目は「旅の珈琲・四国編」

です!どうぞ!

はじめに、喫茶店のモーニングってありますよね?お得な値段で色々ついてくるあれです。たまにワイドショーなんかで名古屋のモーニングが凄いって、あれもこれもついて何とまあこんなお値段!ってやってますが、あれは名古屋人に言わせるとうーん?って感じがすることあります。あんなの目にしたことあったかなぁって十代の記憶を探ってもないですね。メロンスパゲッティとかイチゴスパゲッティみたいな仰天メニューを出す喫茶店ありますよね。私の生家はあのお店の近くなんですが、メロンスパゲッティはともかくとしてそんな仰天モーニングは聞いたことないなあって思いです。まあ私が知らないだけできっとあるんでしょう。コメダは確かに多いですよ。ナゴヤイズコメダシティです。でもしばらく帰省してないので今は名古屋の喫茶店事情も違うのでしょうね。今は東京にもモーニングのお店多いですしね。 で、四国です。四国のモーニングです。唐突に。 数年前バイクで四国をぐるぐる回っておりました。ハチクロの竹本くん的なあれです。 四国で出会ったモーニングの話です。 足摺岬を越えて少し行った竜串と言う所で野宿をしました。公園なのかただの空き地なのか、まあ泊まりたきゃテント張っていいよって言う海のそばの広場で一泊したんです。まあ野宿は慣れていたんですがこの広場がやたら猫が多い。一晩中にゃーにゃーにゃーにゃー鳴いている。まあこっちがよそ様に潜り込んで寝かせてもらってるわけなので仕方ないですがあれは寝られませんでしたね。その前にも室戸岬で野宿したんですがやっぱり猫が多い。展望台に猫がわんさかいる。四国には猫が多いんでしょうか?私は普段動物にまるで関心ないんですがあの時だけは気になりましたね。 それでほとんど眠れずに、えーいままよ!って夜明けくらいにまた出発してぐるりとまわって愛媛を目指す。その途中に宿毛と言う場所があるんです。 朝7時前くらいだったでしょうか、バイクでダラダラ走ってると道の駅とは言えないまでも駐車場にトイレがついたようなよくある休憩所を通りました。ふと海の方を見ると、「喫茶店」と言うのぼりがたって喫茶店なのか土産物屋なのか物置なのか、失礼ですがそう言った類の小屋がある。店先が少し明るい。もしかしてもう開いてるのかと思い、駐車場に入ってみるとどうも営業しているらしい。まだ空がどんより白んだ頃です。 店内は薄暗くてよく見えない。軒先には野菜なのか土産の置物なのかよくわからないものがコロコロと並べてある。はっきり言って入るのをためらう雰囲気です。まあ今となっては雨水も入り辛い雰囲気あるとたびたび言われてしまいますが・・・ でも、寝不足と旅のハイな気分のせいで私は臆することなく店の中に入っていった。ヘルメットでぺちゃんこになった頭のままで。もう一度言いますが旅の最中はハイなんです。ハイにでもならなきゃやっていけないんですね。相手が自然だから。 薄暗いというか、ほとんど真っ暗な店の中に入ると、喫茶店というか祖父母の家です。なんか座布団とか座布団的なものとか、座布団が他のものに移り変わりつつあるようなもので埋め尽くされている。でもその中に一応テーブルとカウンターのようなものもある。呆然と店の中に立っていると、ぬらーっと店のおばあさんが奥から出てくる。いいですか?と聞くといらっしゃい、とおばあさんはエプロンをつけ始める。神棚のようなテレビが見えるテーブルにつくとおばあさんがそろそろとやって来て、モーニングにしましょうかね?と聞いてくる?もう、メニュー見せてくださいなんて雰囲気じゃないですよ。ここの豆はどこのですか?なんて聞くはずもないし、もうね、せっかくおばあさんがモーニングですね、って言ってくれているんだからモーニング以外にはありえないんですよ。と言うか、もう雰囲気に圧倒されて私はパニック状態だったわけです。 あれはどこのテレビ局だったんだろうか?伊予がどうのって言ってたのを覚えているので愛媛のローカルチャンネルだったのかもしれない。朝のニュースを小さな音量で見ながら祖父母の家で朝食を待つ。 さてモーニング。でしたが、内容はほとんど覚えてないのですが普通だったんじゃないだろうか。トーストにゆで卵、サラダにヨーグルト、あとはそうめんがついてたのがおっ!と思ったくらい。フルーツはメロンだったかスイカだったか。まあモーニングです。 ところが問題はこの後。 食べ終わった後に、コーヒーでいいですかと祖母が聞くのではい、と答える。で、出てきたコーヒーがびっくり。 なんか物凄い年代物っぽいウェッジウッドのカップがテーブルに置かれて、えっなにこれ?って。 薄暗い店内がその白磁のカップに一瞬で収斂されたのがびびびっとこう実感できるほどの立派なカップが置かれたわけです。なんと言えばいいのか、、、とにかく美しい。 もうね、取っ手を持つ手が震えるくらい立派で品に溢れたカップなんですよ。コーヒーの味なんてもうさっぱりわかりませんよ。何でもいいです。とにかく辺りの空気が全てそのカップのためだけにある、ほんとそんな感じです。 その時はウェッジウッドってことは分からなかったんですが雨水の開店準備してるころに色々調べてたら、ああ、あれは多分ウェッジウッドだったんだろうなあって思い当たったわけで・・・ ひたすらビビりながら味もなんも分からないままコーヒーを飲み干して逃げるように出て行きました。 あのお店は今頃どうしてるのかしらん? 今となっては幻のような旅先の喫茶店・・・ 本当にモーニングには無限の可能性がある、その事実を知った旅だった・・・って言うのはさすがに言い過ぎ、無茶苦茶でしょうか。 まあでも、その時頂いたコーヒー、味は今となっちゃ分かりませんけど、それは「おいしいコーヒー」として私の記憶にしっかり刻まれましたね。旅のせいで何もかもが美談となっていると言うのは否めませんが、それでいいですよね。宿毛のモーニング、宿毛のコーヒーは美味しかった!それで良しなんです。 普段、豆の品質がとか焙煎が抽出が、と躍起になっていますし、それは当然大事なことなんでしょうけど、「おいしいコーヒー」と言うもっと広いものを考えてみると、こう言う体験もありなのかなあと思います。 では今回はこの辺で。 次回は愛媛入ったところから。 http://coffeeusui.hatenablog.com/entry/2016/10/17/102350