雨水ブログ「旅の珈琲・四国編2」
どうも雨水です。
初回は四国は宿毛の、とんでもないオーラ的な何かを持った珈琲カップの話でしたね。今回はその続きです。
さて前回の投稿後、そもそもお前はどこから急に高知に湧いて出たんだ、と言うご指摘を頂戴しまして、これはどうもすみません、旅の行程はざっとこんな感じを目論んでおりました。
東京港⇨フェリー⇨徳島⇨室戸岬⇨高知桂浜⇨足摺岬⇨愛媛宇和島⇨佐田岬
こんな感じでした。
前回はちょうどその真ん中から書き始めたわけです。唐突に。
まあまた一から書くのもあれなんで、時間空間を自由自在に行き来して書いていくのでどうぞよろしくお願いします。
で、前回の続き。
そんなこんなで私は愛媛は宇和島に向かったわけです。
宇和島と言うのは、私はまるで縁もゆかりもなくて家系を何代遡ってみても宇和島の血は一滴も流れてないと思いますけど、今となっては特別な思いがありますね。感慨深いです。宇和島はじゃこ天が美味しいですね。じゃこ天がとんでもなく美味い、それが宇和島です。あと宇和島城がありますね。お城です。熱海城と同じあのお城です。
さて、この旅のさらに数年前に一度宇和島へ行ったことがあったんです。
恵比寿に珈琲トラムがありますね。あのトラムです。あすこの店主のフルヤ君と、共通の友人の佐々木蔵之助に似ているK君、このK君が当時、宇和島に仕事で転勤になったんです。よし、そんじゃいっちょ陣中見舞いしよう、と言うことでフルヤ君と二人、宇和島まで出掛けようと言うことになったのです。
その頃は私も会社員で職場は新橋にありました。夜行のバスまでまだ時間が大分ある。よし、時間潰しがてら最近フルヤ君が勤めだしたと言う青山の珈琲屋まで行ってみよう、私はそう考え、スーツ姿のままメトロに乗ったのです。珈琲好きの方ならご存知のようにかつて青山に在ったあのお店です。レジェンドです。
青山通り沿い、二階へと上がる。閉店間際だったせいかお客は私一人。カウンターのこう、つるっと行きそうに傾いた席へ座りました。何だかえらい傾いているなあ、そう思ったことをよく覚えております。
今となってはその時の訪問はとんでもなく貴重な体験となってしまったのですが、悲しいやら情けないやら、当時の私はそのお店のことも珈琲の味のこともなーんもなーんも知りませんでした。季節自分になれば花が芽吹くように珈琲豆があれよあれよと天から降ってくる、珈琲に関してそんな程度の知識しか持ち合わせておらず、従業員の友人ということであれこれネル生地の話なんかをして下さったのにも関わらず私は、はぁとかへぇとか内心は(ここのマスターは随分おしゃべりな方だな)とトンチンカンなことばかり思っている始末。ほんと顔から火を吹きそうなほどです。しかも味も何も、そもそも自分が何を頼んだのかさえ覚えていない。最近になってようやくフルヤ君に「なあ、あの時さオレ、何番飲んだんだっけ?」と聞いたら「・・・・・3番」と教えられました。まったくもってヒドイ話です。
というわけで、私にとって宇和島は縁もゆかりもないにも関わらず、決して忘れることのできない特別な土地となったのです。
で、話は飛んで松山到着。K君に迎えに来てもらい宇和島へ。カーステレオからハイロウズが流れていましたね。ハイロウズ良いですね。それにしても四国行きの夜行バスは朝方徳島で一回降ろされて乗り換えさせられるのが大変ですね。朝は普通に眠いですもんね。 それで宇和島に着いてからなんか色々、釣りとかしたんですけどそれはどうでもよくて、とにかくじゃこ天が美味かった。本当に美味かった! ・・・珈琲の話ですね。 我々は商店街を抜けてふと目についたジャズ喫茶に入りました。いかにもジャズ喫茶と言ったカッコいい雰囲気のお店です。しかしいきなりトム・ウェイツと言う反則技をオーダーする我々。まあ店のマスターは嫌な顔したかもしれないですけど、closing timeを聴きながら飲むアイス珈琲は美味しかったですね。まだ夏の・・・昼間なのに! と言うことで話は前回の宿毛の続きに戻りまして。この時のジャズ喫茶にもう一度行こう、私はそう思ったのです。 が、探せど探せど見つからない。冗談抜きで宇和島市内の繁華街を何周も行ったり来たりしました。店の名前も覚えていないし、見当がつかない・・・ところで私は今回の旅の室戸岬⇨桂浜間で携帯を落としてしまいました。警察署の遺失物保管期限が何年か知りませんが、もしかしたらまだ高知の安芸警察署に保管されているかもしれません。自分のかつて所有していたものが遠く離れた土地にある、そう思うと感慨深いですね。 とにかく店の名前も覚えていない、携帯でも検索できない、歩いている人に聞いてもピンと来ない、ああこりゃダメかなあ、そんな諦めムードがヘルメットの中に漂いだした頃、これかと見つけた喫茶店がどうも記憶の中の映像に近いような気がする。えーいままよ!とヘルメットでぺちゃんこになった頭のままそのお店に飛び込んでみると・・・ まったく違いました。と言うかほんとにぜんぜん違う店でした。なんでそう思ったんだろう、謎です。 なんというか喫茶店とスナックの中間のような造りのお店でビロードのソファに座ったおじさま方がなんだお前?って感じで訝しげに睨んでくる。カウンターの中のママさんらしき女性だけが申し訳なさそうに引き攣った顔でこちらへどうぞ、と一番入り口に近い避難所のような席を指示してくる。アウェイ感がすごい。こんな敵地で・・・本気なんて・・・出せませんよ・・・ ちなみにアウェイ過ぎたせいかこの時飲んだものはよく覚えています。またアイス珈琲。ガッと飲んでバッと出た!滞在時間わずか2、3分。宇和島の方々、楽しいひと時に突然ストレンジャーがお邪魔してすみませんでした。 それにしても帰る時に振り返ってみたら・・・やっぱりぜんぜん違う店!!!いえ、そのお店自体はお花がたくさん飾ってあって綺麗な良いお店だったんですよ。悪いのは私です。 結局、目的のジャズ喫茶はまだご健在でした。次の日、宇和島から松山へ向かう道にちゃんと在るのを発見しました。入りませんでしたけども。 要するにあれです。今回お伝えしたかったのは、珈琲はホーム的な場所で、のんびりリラックスして飲むのが美味しいよね、って言う古今東西、普遍の事実でした。 まあ珈琲通の方の中にはあえてアウェイ感を楽しむ屈強な精神の方もいらっしゃると思いますが・・・宇和島の珈琲も美味しかったよ、と言うことで。 それでは今回はこの辺で。次回は旅の目的地、佐田岬です。 http://coffeeusui.hatenablog.com/entry/2016/10/20/082951